令和5年度優秀映画鑑賞推進事業
懐かしの映画上映会
2024年1月13日(土) - 2024年1月14日(日)
- 時間
13日 開場10:00 上映開始10:30 「浪華悲歌」
開場13:30 上映開始14:00 「西鶴一代女」
14日 開場10:00 上映開始10:30 「風の中の子供」
開場13:30 上映開始14:00 「蜂の巣の子供たち」
- 会場
- 大ホール
「浪華悲歌」
1936年 第一映画
白黒/スタンダード/モノラル/72分
原作・監督 溝口健二
出演 山田五十鈴、梅村蓉子 他
(解説)
大阪の製薬会社で電話交換手として働くモダンガールのアヤ子(山田五十鈴)が、家族の経済的苦境を救うため、恋人がいるにもかかわらず、言い寄ってきた社長の囲われものとなるが…。家族や恋人のために自己犠牲を行った末に、その自己犠牲が報われる物語がメロドラマだとすれば、本作におけるアヤ子の自己犠牲的な行動は、最後まで報われることはない。本作の見所は、男たちの欲望と卑劣さと弱さの餌食になって転落していくアヤ子の姿を、徹底的に冷ややかな視線で捉えた溝口健二の演出にあるだろう。年に映画女優としてデビューした山田五十鈴は、本作で厳しい溝口の演技要求に応えて大女優へと飛躍し、同じ年に再びコンビを組んだ『祇園の姉妹』と合わせて、二人の代表作とした。「キネマ旬報」ベストテン第3位。
「西鶴一代女」
1952年 新東宝=児井プロ
白黒/スタンダード/モノラル/136分
構成・監督 溝口健二
出演 田中絹代、山根寿子 他
(解説)
原作は井原西鶴の「好色一代女」である。原作の女主人公は、生来の好色から数奇な男性遍歴を重ね、封建制度の下で自由奔放な性を謳歌する女性として描かれている。映画化にあたって監督の溝口健二と脚本家の依田義賢は、女主人公の自己主張や被害者意識を極力排し、男性本位の都合で不思議な一生をたどってしまう女を、客観的に凝視する手法で描いている。社会の底辺で生きている女は、ふと入ったお寺の五百羅漢を見ているうちに、過去に出会った男達の顔を次々に思い浮かべる。そこで生まれた悲喜こもごもを静かに回想し終わると、女は何処ともなく闇の彼方へ去っていくのだった。国内では「キネマ旬報」ベストテン第位の評価だったが、『羅生門』(1950)がグランプリを得た翌年のヴェネチア国際映画祭で国際賞を受賞、以後この作品は「お春の一生」の題で日本映画を代表するようになり、フランスをはじめとする欧米各国で溝口監督は神格化されることになった。
「風の中の子供」
1937年 松竹(大船)
白黒/スタンダード/モノラル/86分
脚本・監督 清水宏
出演 河村黎吉、吉川満子 等
(解説)
夏休みを迎えて大はしゃぎの善太・三平兄弟の下に、突然お父さんが工場を辞め、警察に引っ張られるという事件が巻き起こる。児童文学者の坪田譲治が、前年「東京朝日新聞」に連載し好評を博した小説を、清水宏監督が原作に忠実に映画化。爆弾小僧や葉山正雄ら松竹自慢の子役たちと、自宅で寝食を共にしながら撮影に備えた清水は、天然の野生ともいえる子供の存在を見事にカメラに収め、本作により児童映画の第一人者としての地位を築いた。翌年のヴェネチア国際映画祭には、田坂具隆監督の『五人の斥候兵』とともに出品され、ヨーロッパの批評家たちからも絶賛された。なお、坪田による善太・三平の物語は、同じ清水監督によって『子供の四季』(1939)が作られるとともに、戦後も山本嘉次郎監督らによって映画化されている。
「蜂の巣の子供たち」
1948年 蜂の巣映画部
白黒/スタンダード/モノラル/84分
脚本・監督 清水宏
出演 島村俊作、夏木雅子 等
(解説)
清水宏監督は、スター俳優を使ってメロドラマを撮っているよりは、子供や風景を自然のままに写しているほうが良いと考えていた。そんなこともあって、戦後、戦災孤児を引き取って自宅で面倒をみていたが、彼らを登場人物に何か作ろうと思いたち、蜂の巣プロを起こして、本作を製作した。下関に降りたった復員兵は、自分が育った非行少年の更生施設「みかへりの塔」へ帰ろうと、広島、神戸と山陽道を歩いて行く。戦禍の傷跡も生々しい街角や路上で、孤児たちや若い娘の引揚者などと出会い、さらに旅を続けていく。全篇ロケーション撮影、出演者もすべて素人といった素朴さのうちに、朴訥としたこの監督特有の味わいと時代を見つめる目がある。「キネマ旬報」ベストテン第4位。
公演情報
日程 | 2024年1月13日(土) - 2024年1月14日(日) |
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会場 | 大ホール |
時間 | 13日 開場10:00 上映開始10:30 「浪華悲歌」 開場13:30 上映開始14:00 「西鶴一代女」 14日 開場10:00 上映開始10:30 「風の中の子供」 開場13:30 上映開始14:00 「蜂の巣の子供たち」 |
料金 | 【全席自由・税込】500円/1作品 |
チケット購入 | 発売日 9月15日(金) 10:00〜
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主催・後援 | 主催:團十郎芸術劇場うらら、小松市、国立映画アーカイブ 特別協力:文化庁、一般社団法人 日本映画製作者連盟、全国興行生活衛生同業組合連合会、東映株式会社、東宝株式会社 協力:株式会社オーエムシー |
お問い合わせ | 團十郎芸術劇場うらら TEL 0761-20-5500 |